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若い女性に人気のこけし。気軽で本格的な絵付け体験を楽しもう

伝統ある土湯こけしは蛇の目&ろくろ模様が特徴

「こけ女(じょ)」なる言葉をご存知でしょうか。こけしが好きな女性=こけし女子の略です。2010年代に入ってから若い女性の間で「かわいい」と人気が高まり、今は“第三次こけしブーム”ともいわれています。

 

そんな中で脚光を浴びているのが「土湯こけし」。福島市の土湯温泉が誇る伝統こけしです。

 

 

こけしは、江戸時代末期頃に東北地方の温泉地で生まれたとされるろくろ挽きの木の人形で、元々は子どものおもちゃとして親しまれていました。土湯温泉は宮城県の遠刈田、鳴子と並ぶ三大こけし発祥地といわれ、現在も7人の「こけし工人(こうじん。こけしを作る職人さん)」がいます。

 

伝統こけしは産地によって形や模様などが異なり、土湯こけしは頭頂部の蛇の目模様と、ろくろを使って胴体に描く横じまのろくろ模様が特徴です。

 

 

クジラ目にたれ鼻、おちょぼ口の愛らしい表情、赤を基調とした華やかな色合いも土湯こけしの大きな魅力。工人さんによって表情やデザインが異なるので、好みのこけしを探すのも楽しいですよ。

 

絵付け体験で世界に一つだけのこけしを作ろう

土湯温泉から車で20分ほどのところにある農村公園『四季の里』では、園内の「工芸館」でこけしの絵付け体験ができます。世界に一つだけのこけし作りに、岳温泉観光協会のまるちゃんが挑戦してきました。

 

 

こけしの材料になる木にはミズキ、ツバキ、エンジュ、サクラなどさまざまなものがあり、こけしの寸法(サイズ)もいろいろ。絵付けをするのは、6寸(18cm)のイタヤカエデの木地です。

 

 

工人さんは機械を使いますが、体験では手回しろくろを使います。スタッフの後藤さとみさんから土湯こけしの特徴を教わった後、左手でろくろのレバーを回し、右手に筆を持って頭頂部の蛇の目模様を描く練習をします。筆の持ち方や置き方、ろくろを回す速さなど、コツを丁寧に教えてくれるので初体験でも安心です。

 

 

練習でコツをつかんだら、筆に墨汁をつけて絵付け開始です。「2周くらいろくろを回転させたら、ろくろを回したまま筆をすっと取りましょう」というアドバイスに従い、蛇の目模様を2本描きます。

 

 

蛇の目模様ができたら木地をろくろから外し、面相筆(めんそうふで)という細い筆でこけしの顔を描きます。「お顔の真ん中あたりに目を描くとバランスがよくなります。それだけ気にしていただければ、あとは自由に描いて大丈夫ですよ」と後藤さん。

 

同じ工人さんのものでもこけしの表情は一つひとつ異なり、土湯こけしらしいクジラ目、ぱっちりした目、目を閉じているものなど、目だけでもさまざまです。室内には土湯の工人さんの作品をはじめたくさんのこけしが展示されているので、それらを見てどんな顔にするかイメージを膨らませます。

 

 

迷った末に「この無表情な感じがかわいい」と、切れ長の目のこけしを参考にすることに決定。スマホで撮影した写真を見ながら、下書きなしのぶっつけ本番で眉、目、鼻、口と描き進めていきます。「めっちゃ緊張する~(汗)」。

 

 

続いて前髪と鬢(びん。頭の左右側面の髪)を描きます。前髪も鬢もさまざまな形があり、好きなデザインで個性を出せるのが楽しいところです。

 

 

これで顔が出来上がりました。今度は胴模様です。赤、紫、黄、緑の4色の染料の中から好きな色を使い、ろくろを回してこけしの胴体にろくろ模様を描いていきます。「土湯こけしは赤が基本ですが、お好きな色で自由に描いていただいて大丈夫です。筆の先だけを使うと細い線に、筆を広く使うと太い線になりますよ」と後藤さん。まるちゃんは赤、黄、緑の3色を使い、明るい色調でろくろ模様を入れていきます。

 

 

「かわいい~! なんかこけしっぽい(笑)」。たしかに、ろくろ模様が入ったら一気にこけしらしくなりました。「途中にお花の模様を入れてもかわいいですよ」とのアドバイスを受け、ろくろ模様の間に筆で赤い花を描くことにします。筆の先を使い、5カ所にちょんちょんと点を打つ感じで赤を置くと、簡単にかわいらしい花模様の出来上がりです。

 

 

いよいよ最後の難関、カセと呼ばれる赤い髪飾りに取り掛かります。これまたいろいろなデザインがあるので、参考にするこけしを選び、それを見ながら筆で描いていきます。向かって右側の髪飾りはすんなり描けたものの、左側に苦戦しますが、後藤さんに助けられてなんとか描き終えることができました。

 

 

仕上げに唇に紅をさし、底に名前と日付を入れたら世界に一つだけのこけしの完成です!

 

 

すっきりとした切れ長の目の美人顔、赤・黄・緑のろくろ模様に赤い小花のアクセントが入った素敵なこけしが出来上がりました。「絵心がないので自信がなかったんですが、思ったよりもちゃんとしたこけしができました(笑)。手軽に本格的なこけしが作れて楽しかったです」とまるちゃん。「かわいいので家に飾ります」と笑顔がこぼれました。

 

 

「工人さんが作るこけしにツヤがあるのは特殊なロウを塗っているからなんです。今回のこけしにツヤを出したい場合は、市販の白いロウソクを塗ってティッシュか乾いた布で磨くとやわらかいツヤが出ますよ」。後藤さん、丁寧な手ほどきとたくさんのアドバイスありがとうございました!

 

 

こけし絵付け体験は毎日10時、11時、12時、13時、14時から実施しています。少人数なら平日は予約なしで体験できますが、土曜・日曜・祝日は予約するのがベターです。土曜・日曜・祝日には、土湯温泉の工人さんによるこけし作りの実演も見ることができますよ。また、ドライフラワーを使ったキャンドル作りや苔テラリウム作りなどランチ付きの各種ワークショップも毎月開催しています。詳しくはホームページでご確認くださいね。

 

スポット情報
四季の里
住所:福島県福島市荒井字上鷺西1-1
電話番号:024-593-0105(工芸館)
営業時間:9:00~16:00
入園・入館:無料
休日:無休 ※年末年始休業、施設点検休業あり(2019年12月29日~2020年1月3日、2020年2月12日~14日は休み)
こけし絵付け体験:1,100円(消費税込み)。10:00、11:00、12:00、13:00、14:00~。団体は要予約
駐車場:あり
ホームページ:https://www.f-shikinosato.com

 

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