【ワーケション体験記@福島県・岳温泉】絶景スポットで仕事に没頭→温泉もサウナも遊びも思いっきり楽しめる“神”施設が満載だった!
「岳温泉ワーケーション」参加者の体験レポートをご紹介します。
経緯についてはこちら。
東京で活動する編集/ライターの柴田捺美さんによる体験レポートです。
かつて日本に共和国が存在したのをご存知ですか?
1980 年代にブームとなった「ミニ独立国運動」。各地の特徴を反映したユニークな取り組みを行うことで集客を図る、まちづくり運動の一つなのだとか。そのブームにあやかって、福島県二本松市は1982年4月28日に「ニコニコ共和国」を開国。当時はオリジナルの独自貨幣(コスモ)が発行されたりと、まさに一つの国のような動きをしていたとのこと。
そのニコニコ共和国があった地域・岳温泉で開催された三泊四日のワーケーションプログラムに参加してきたので、記憶している限り記していきます。
<目次>
- 1日目:
- オリエンテーション@観光協会
<宿泊:ホテル パラダイスヒルズ>
- オリエンテーション@観光協会
- 2日目:
- こけしづくり体験@観光協会
- ミルキーデイ見学@鏡ヶ池
- プライベートサウナ@あづま館
<宿泊:ながめの館 光雲閣>
- 3日目:
- 森の民話茶屋
<宿泊:マウントイン>
- 森の民話茶屋
- 最終日:
- フリータイム→帰路へ
いざ、出発!1日目はエンタメが満載の「ホテル パラダイスヒルズ」さんへ
まずはアクセスについて簡単に。東京駅からJR東北新幹線に乗って「郡山駅」に向かったら、在来線JR東北本線に乗り換えて郡山駅→二本松駅に行きます。
たまたま乗り換えがうまいこといったので所要時間は2時間くらいでしたが、在来線は平日昼間だと1時間に1本しか来ないためタイミングが悪いともっとかかる場合もあるのだとか……都会の感覚で過ごしていると、うっかり電車を逃して大惨事になるので要注意ですね。
二本松駅から岳温泉までは車で20分くらい。送迎していただいて、今回のワーケーション日程などのオリエンテーションを受けたら1日目の宿泊先である「あだたら温泉 ホテルパラダイスヒルズ」さんにチェックインしました。
こちらはスポーツ部の合宿などにもよく利用されるとのことで、エンターテイメントも満載なホテル。敷地内の「さくらキャンプ場」はキャンプを楽しめるだけでなく、ドッグランが併設されているそう(実家で飼っているわんちゃんを連れて、再訪したい……)!
お楽しみコンテンツだけでなく、ワーケーションとしての利用にも最適。2階には誰でも自由に使用できる個室ブースが4つあり、中に入ってみるとモニターとマウス、キーボードなど自由に使用できる設備が揃っていました。緊急のオンラインミーティングが始まった時には、とってもありがたい設備です。そのほかラウンジや休憩処にもデスクチェアが多くあるので、自分が集中できる環境を自由に選ぶことができるのもありがたいポイントでした。
ですがそれと同時に、射的や漫画やダーツ、カラオケなどのありとあらゆる娯楽も取り揃えているので要注意(!?)。誘惑に負けない強い気持ちで、仕事に集中する必要があるかもしれません。
そんなこんなで緊急の仕事を片付けたら、1日目はみんなでワイワイと食事を楽しみました。二本松市の郷土料理「ざくざく」や炊き込みご飯を作ったり地酒を飲んだり……。楽しく過ごしていたら。いつの間にか夢の中へ。
心地よいベッドでぐっすりと眠れたので、移動の疲れも完全に癒えていました。
土湯名物・こけしの制作体験!? ミルキーデイだからこそ見れる絶景も堪能
2日目はこけし作り体験からスタート。岳温泉から少し離れたところにある土湯温泉というエリアの観光案内所にいらっしゃる、中風さんに「土湯こけし」について教えてもらいました。
中風さんによると、土湯こけしを作る作家さんは昔は多く居たものの、現在はわずか5名しか残っていないのだとか……。個人的には「福島=赤べこ」のイメージが強かったのですが、土湯温泉は遠刈田、鳴子と並ぶ三大こけし発祥地とも言われているらしいです。
さすがに木を削ってこけしを一から作るのは無理なので、今回はプラ板を使ってかわいいこけしキーホルダー&マグネット作りを体験させてもらいました。油性ペンでカラフルに彩って、自由に表情を作ったらあっという間に完成! メンバーの個性が光る、とってもかわいらしいこけしが誕生しました。
岳温泉は週に一度ほど「ミルキーデイ」と呼ばれる日があるのですが、実はこの日がミルキーデイでした。
源泉から各ホテルや旅館などにつながっているパイプには、少しずつ「湯花」という温泉成分が付着し、それが蓄積すると詰まってしまう。なので、源泉の守り人である湯守さんがはるばる遠くまで取り除いて流す作業を行います。つまり、その取り除いた湯花がお湯に混ざって濁る=お湯がまるで牛乳のように真っ白になる、というわけですね。
早朝に作業を行うので、お昼頃には温泉はもちろん池もだんだんと白く濁ってきて、綺麗なグラデーション模様を見ることができます。
私たちは岳温泉エリアにある「鏡ヶ池」にその様子を見に行ったのですが、エメラルド色の池に白がうまく混ざり合って、なんとも美しい光景でした。 ただでさえ絶景な鏡ヶ池ですが、もし旅程が合えばぜひミルキーデイの時に見に行くことをおすすめします。
さて、その次は「あづま館」さんに向かい、プライベートサウナを満喫させていただくことに。こちらは2023年夏に最上階フロアの大幅リニューアルを終え、絶景サウナにインフィニティープールという、至福の“ととのい”が味わえる空間が完成したそう!「空サウナ」と「山サウナ」の2つの本格サウナを楽しめるとのことで、ウキウキしながら向かいました。
いざプライベートサウナに入ると、圧巻の景色……!絶景を楽しみながら水風呂にダイブできるという、サウナー垂涎もの。
熱狂的なサウナーではない私も、思わず興奮してしまいました。続いて、バレルサウナ(山サウナ)。正式名称は「ONE SAUNA」というそうです。写真左奥の方は窓から山麓を眺めることができ、バレルの空間を楽しみながら開放感もあるという、なんとも贅沢なものでした!
こちらは「空サウナ」。全国で初めて導入したという「ikiヒーター」は、迫力ある熱波が特徴! 最高のロウリュ&アウフグースで全身をじっくりと温めることができます。空サウナという名前の通り、絶景と青空のコラボレーションが楽しめて何時間でも楽しめる素敵な空間でした。
ただ、サウナ初心者である私は15分程度が限界……!何度か休憩スペースや水風呂で休みながら、最後まで堪能しました。休憩スペースにはアルコールを含めたさまざまなドリンクが用意されているので、こちらも必見! いつまでも滞在したい、特別なプライベートサウナでした。
2日目に宿泊したのは、「ながめの館 光雲閣」さん。岳温泉の一番高台に位置し、阿武隈山系を一望できるのが特徴であるため、“ながめの館”という名前の通り絶景が楽しめます。
到着した時はすでに日が落ちてしまっていたのですが、それはそれで、非常にロマンチックな光景でした。
展望台の付近にはPC作業のできるカウンター席があるため、素晴らしい景色でリフレッシュしながらワーケーションも楽しめます。こちらの写真は翌朝に撮影したのですが、朝日が眩しいほどに差し込んでいて気分も明るくなりました。
都内でもワーケーションのプランがあるホテルはいくつかありますが、狭い部屋に机があってまるで“缶詰状態”で自分を追い込む……のような図になりがちなのがネック。一方でこちらの光雲閣さんのスペースは開放感があり、新たなインスピレーションが得られそうな雰囲気なのが、とても気に入りました。
こちらのオープンエリアだけでなく、VIPルームや会議室も予約すれば利用可能とのこと。
VIPルームでも美しい眺望はそのままに、ホワイトボードなどの備品も充実していました。大人数でのワークショップなどを行う時は、こちらも活用すると良さそうです。
一通り仕事を終えたら、豪華な夕食タイム。思わずお酒も進み、大満足のまま就寝しました……!
大玉村の民話茶屋でブレスト会議を終えたら、夜は酸性泉でゆっくり。
3日目は大玉村(おおたまむら)にある「森の民話茶屋」へ。森の中にたたずむお店は、雰囲気抜群。地元の美味しい野菜やお米を使ったお膳のほか“伝説の滝”からの水で煎れたブルーマウンテンなどが味わえるとのことで、地元の人の憩いの場として人気の茶屋です。“民話茶屋”という名前は、店主がお客さんに民話を伝承する「民話ライブ」を随時行っていることに由来しているそう。
ただ、近年その点に関して少し課題を感じているとのことで……今回はその解決のために、みんなでアイデアを出し合うワークショップを開催させていただきました。どうしたらもっと多くの方が民話を楽しんでくれるのか。そもそも、民話をさらに若い世代へと伝承していくにはどうしたらいいのか。それぞれが考えることを付箋に書き出し、民話茶屋をさらにアップデートさせるためのアイデアをいくつか生み出すことができました。
ワークショップ中、美味しいコーヒーもご馳走に。どこかレトロな雰囲気を感じる店内でくつろぎながら、話し合いも順調に進みました。
今回は訪問時間の関係でコーヒーのみでしたが、また次回訪問した際にはお膳も頂きたいです!
民話茶屋という場が、地元の方々にとって、もしくはそれ以外の遠い地域の方々にとってより良い場所になりますように。私たちが提案したアイデアが、ほんの少しでもお店や大玉村にとってお役に立てたらいいなと思います。
さて、今夜の宿泊場所である「mt. inn(マウントイン)」さんに向かいます。マウントインさんは登山やスキーなどのアクティビティを楽しむ宿泊客に人気のホテル。
まるでキャンプ場のようなフリースペースに、座り心地抜群のゲーミングチェアが完備。周囲を見渡すと、登山用品や安達太良山のことを深く学べるパンフレットなどが展示してあり、仕事の合間に楽しめる仕掛けも抜群でした。登山好きにとっては、仕事もはかどる上に大好きなものに囲まれて一石二鳥なワーケーションになること間違いなしです!
登山やスキーを希望する人は、現地スタッフの方がそれぞれに最適なプランを提案してくれるとのことで、ファミリー層やビギナーの方でも安心してチャレンジできるそう。今回私たちは、残念ながらその予定はなかったのですが……また次回訪れた際にはお世話になりたいです。
また、マウントインさんの最大の特徴は全国でも希少な「酸性泉」を楽しめること。1200年の時を経て先人たちが守り抜いてきた尊い温泉とのことで、これまでの旅の疲れを癒すべくたっぷりと堪能させていただきました。殺菌作用のある酸性泉は、疲労回復だけでなく美肌効果も十分に期待できるのだとか。確かに湯上がり後、つるつるとした肌触りになり、心も体も新しく生まれ変わったような(?)気分になりました。
この日の最後には、地元の方々との宴会も。今回のワーケーションでお世話になった宿の支配人さんや、岳温泉で主に活動するミュージシャン・平兄弟のお二人などとともに、居酒屋「よろずや」で美味しい料理とお酒を堪能し、楽しいひと時を過ごしました。3泊4日のワーケーションも、いよいよ明日で最後です。
最後に土地の守神に挨拶を。大玉カレーで腹ごしらえを済ませたら、各自の帰路へ
最終日は基本フリータイムとのことで、それぞれWEB会議や急ぎの仕事を片付けるなどして自由に過ごしました。私は少しだけ仕事をした後、手が空いているメンバーとともに近所を散策することに。
「マウントイン」さんから数分ほど歩いた場所にある「陽日熊野神社(岳温泉神社)」は、この地域の守護神として崇敬されてきた神社。温泉地の移転とともに三度の変遷がありましたが、長きにわたって岳温泉という土地を守っているとのこと。今回のワーケーションが大きな問題もなく楽しく終えられたこと、そして全員が安心して帰路につけるよう、感謝と祈りの気持ちを込めて参拝しました。
その後は車で少し移動し、大玉温泉の一軒宿「金泉閣」の中に店を構える「大玉カレー」さんで昼食。地元の野菜をふんだんに使用した濃厚なカレーは、一口食べた時の衝撃がすごい……! 私は神奈川に生まれ育ち、東京で“名店”とされるカレー店をいくつも食べ歩いてきましたが、正直それらの何倍も美味しかったです。また、付け合わせの野菜スティックも非常に甘みが強く、改めて地元野菜の美味しさを実感しました。
またぜひ食べに行きたい!と強く思うような、印象的なカレーでした。東京でもたまにイベント出店されているそうなので、また味わえる日を楽しみにしています。
お腹を満たした後は、いよいよ帰路へ。岳温泉から郡山へと向かい、新幹線で東京方面へと向かいます。
温泉・サウナ、ワークショップに地元の方との交流…盛りだくさんな3泊4日が終了!
あっという間に過ぎてしまった、3泊4日。今回私はワーケーションプログラムへの参加だけでなく、福島県を訪れること自体も初めてだったので、驚きと感動の連続でした。冒頭で少し触れた「ニコニコ共和国」や「ミルキーデイ」にまつわるお話など地元の方だからこそ知るお話もたくさん伺えて、非常に学びも多いプログラムとなりました。
中でも個人的に印象的だったのが、(今回宿泊した)どのホテル・旅館さんもワーケーション利用者のために最適な環境を用意してくださっていること。絶景が楽しめる広々としたコワーキングスペースに、WEB会議にぴったりなブースなど、都内のホテルではなかなか実現難しいくらいのクオリティのものがあり、ありがたいと思うと同時に「訪れたことがなかった県に、こんなに素晴らしい場所があったなんて……!」と驚きが隠せませんでした。
今回は時間とシーズンの都合上、登山やスキーなどのアクティビティはプログラムに含まれていなかったのですが、またぜひ次回訪問した際にはそちらも満喫したいと思います。
ワーケーションが楽しみたいという方から、温泉でゆっくりと身体を休めたいという方。そして、家族でアクティビティを思いっきり楽しみたいという方まで、心ゆくまで楽しめる岳温泉。3泊4日という短い期間でしたが、大変お世話になりました!
(執筆=柴田捺美)