single-column

日本酒好き必見! 酒どころ二本松が誇る4軒の蔵元紹介

 

忘年会や新年会などでお酒を飲む機会が増える時期。ビールもワインもウイスキーもおいしいけれど、やっぱり日本酒!という方も多いのではないでしょうか。

 

お酒好きの方はご存知だと思いますが、実は福島県の日本酒、かなりすごいんです。「全国新酒鑑評会」という、1911(明治44)年から始まった国内最大規模の新酒鑑評会があります。2019(令和元)年の「平成30酒造年度全国新酒鑑評会」では、福島県の蔵元の22銘柄が金賞を受賞。金賞銘柄数は都道府県別で最多となり、史上初の7年連続日本一(通算9度目)を達成しました。福島県の蔵元が醸す日本酒は他にも国内外で数々の賞を受賞していて、日本国内はもとより海外でも高く評価されているのです。

 

 

酒造りに適した気候風土と豊かな自然の恵み、各蔵元のたゆまぬ努力によって名実ともに日本一に輝いている福島県の日本酒。各地に酒蔵が点在していますが、岳温泉のある二本松市は県内でも有数の酒どころの一つです。城下町・二本松では良質の米と安達太良山の伏流水を使った酒造業が栄え、かつては多くの酒蔵がありました。現在も市内に4軒の蔵元があり、それぞれに特徴のあるおいしい日本酒を造っています。

 

それでは、二本松が誇る4軒の蔵元を五十音順でご紹介しましょう!

 

 

安達太良山の伏流水で自慢の酒を仕込む『奥の松酒造』

1716(享保元)年創業の『奥の松酒造』は、300年以上の歴史を誇る老舗蔵元です。安達太良山を望む国道4号沿いに本社を構え、そこから車で20分ほどの安達太良山麓の森の中に建つ酒蔵「八千代蔵」で日本酒を醸しています。

 

仕込み水として使っているのは、もちろん安達太良山の清冽な伏流水。酒造りに必要なミネラル分をバランスよく含み、仕込み水に最適な名水です。越後杜氏の伝統を受け継いだ蔵人たちの技と最新の設備によって造られる日本酒は、全国新酒鑑評会で11年連続金賞を受賞するなど、その味わいと実力を高く評価されています。

 

 

奥の松酒造の商品は、吟醸、大吟醸、純米吟醸、純米酒、生酒、スパークリング日本酒から女性に人気のリキュールまで多彩なラインナップを誇ります。その一つ「奥の松 あだたら吟醸」は、世界最大規模のワイン品評会「インターナショナル・ワインチャレンジ(IWC)2018」の日本酒部門で最優秀賞の“チャンピオン・サケ”を受賞。“毎晩飲める吟醸酒”を目指して造られており、手頃な価格でワンランク上のおいしさを楽しめると好評ですよ。同酒造の当主名から名付けた「遊佐 純米吟醸」はさわやかな香りと飽きのこない旨みがあり、食中酒にぴったりな一本です。

 

 

本社社屋内に併設されている「酒蔵ギャラリー」には、無料の試飲コーナーやショップがあります。試飲コーナーでは蔵元限定酒をはじめ、同社のほとんどの銘柄をテイスティングできるのがうれしいですね。ショップではお酒はもちろん、奥の松オリジナルグッズや二本松の名産品なども販売。コミュニケーションスペースもあり、酒造りの工程を紹介するビデオを上映しています。ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

 

 

蔵元情報
奥の松酒造
住所:福島県二本松市長命69
電話番号:0243-22-2153(本社)、0243-22-3262(酒蔵ギャラリー)
ホームページ:http://okunomatsu.co.jp

 

 

伝統の「生もと造り」で手間暇かけて醸す『大七酒造』

『大七酒造』の創業は1752(宝暦2)年。地元では“お城山”の名で親しまれている県立霞ヶ城公園からほど近い街中に建つ社屋は、まるでフランスのシャトーのような洋館でひときわ目を引きます。

 

 

日本酒好きの方は耳にしたことがあると思いますが、大七酒造といえば「生もと(きもと)造り」で有名です。生もと造りとは、江戸時代から続く日本酒の伝統的な醸造法。簡単に説明すると、蔵人たちが半切り桶で蒸米と麹を摺りつぶす「もと摺り(山卸)」の工程(下写真)などを通して自然の微生物が生まれては消えていく環境を作り、乳酸菌の力で雑菌を淘汰。厳しい自然淘汰を生き抜いた力強い清酒酵母だけを育て、アルコールへと発酵させていく方法です。

 

 

現在の主流である「速醸酛(そくじょうもと)」に比べて時間も手間もかかり、職人の高度な技が必要となる生もと造り。大七酒造では創業以来、一貫してこの昔ながらの醸造法にこだわってきました。もう一つ、大七酒造の酒造りを支えているのが、お酒の雑味の原因になる成分を効果的に除去する独自の技術「超扁平(へんぺい)精米」です。

 

伝統的な生もと造りと革新的な超扁平精米によって造られる大七酒造の日本酒は、やわらかく濃密で、奥深い味わいが特徴。代表的な銘柄の一つである純米大吟醸「箕輪門」は、「地酒大show」で3年連続プラチナ賞(第1位)を獲得し“殿堂入り”を果たした逸品。ヨーロッパの王室主催晩餐会でも提供されるなど、海外でも高い評価を誇っています。純米大吟醸酒「頌歌」や純米吟醸酒「皆伝」も人気ですよ。

 

 

大七酒造では試飲付きの酒蔵見学も受け付けています。料金などの詳細は下記ホームページで確認するか、お問い合わせくださいね。

 

 

蔵元情報
大七酒造
住所:福島県二本松市竹田1-66
電話番号:0243-23-0007
ホームページ:https://www.daishichi.com

 

 

手造りの吟醸酒にこだわる新しい酒蔵『人気酒造』

『人気酒造』は2007(平成19)年に設立された新しい酒蔵です。1897(明治30)年創業の大内酒造が前身で、長年酒造りに携わってきたプロが集まって立ち上げました。

 

 

歴史やしがらみに縛られず、本当に造りたい酒を造る。そんな想いを持った人たちが集まった人気酒造には、いろんなこだわりがあります。まず日本酒は吟醸酒のみにこだわり、普通酒は造りません。そして機械に頼ることはせず、手造りでしか造りません。伝統的な製法と道具にこだわり、安達太良山の伏流水と地元産酒米を使い、手間を惜しまず丁寧な酒造りをしています。さらに日本酒の貯蔵は瓶貯蔵にこだわり、光や温度、空気による劣化を防いで品質を保っています。

 

 

銘柄は「人気一(にんきいいち)」。精米歩合60%以下で長期の低温発酵にこだわり、木製の道具を使い、和釜で蒸す、昔ながらの手仕事で造る吟醸酒は華やかな香りとフルーティーな味わいが特徴です。スパークリングタイプの吟醸酒もあり、その一つ「あわ酒スパークリング純米大吟醸」は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019」のスパークリングSAKE部門で最高金賞を受賞しています。

 

 

また、人気酒造で忘れてはならないのがウルトラマンとのコラボ商品。純米大吟醸や焼酎、梅酒などがあり、おなじみの怪獣たちが描かれたパッケージやラベル、怪獣がお酒を造るというストーリーが楽しいシリーズです。

 

 

ウルトラマンの生みの親・円谷英二監督は福島県須賀川市出身。円谷プロダクションが東日本大震災の被災地支援のために設立した「ウルトラマン基金」のオフィシャル商品として売り上げの一部が同基金に寄付され、子どもたちの未来を創るための活動に役立てられます。

 

蔵元情報
人気酒造
住所:福島県二本松市山田470
電話番号:0243-23-2091
ホームページ:http://www.ninki.co.jp

 

 

地元で愛される「千功成」の蔵元『檜物屋酒造店』

『檜物屋酒造店』は1874(明治7)年創業。JR二本松駅から徒歩5分ほどの街中に、風情ある店と蔵を構えています。酒造業を始める前は檜を材料にした曲げ物を造っており、“ひものや”と呼ばれていたことが社名の由来です。

 

 

自慢の銘柄は「千功成(せんこうなり)」。二本松藩主丹羽公の先の君主、豊臣秀吉の馬印“千成ひょうたん”にちなんで千成と名付けたのが始まりで、その後、千の功(いさお=手柄、勲功)が成るという意味から「千功成」となったそうです。

 

 

二本松の他の蔵元さんの商品と異なり、千功成はほとんど地元で消費されるのが特徴。県外ではなかなかお目にかかれず、福島県を訪れなければ味わえない“地酒中の地酒”なのです。

 

地元の人たちがこよなく愛する千功成は、安達太良山の恵みである良質な湧水と地元産の米を使用。昔ながらの甑(こしき)で米を蒸すことから始まり、ほとんどの工程を手作業で造っています。

 

特にこだわっているのがもろみを搾り、酒と酒粕に分ける「上槽(じょうそう)」。搾り機を使用して圧搾する酒蔵が多い中、檜物屋酒造店ではもろみを布の袋に入れて槽(ふね)と呼ばれる枠に並べ、ゆっくりと上から圧力をかける昔ながらの方法でお酒を搾っています。時間も手間もかかりますが、その分良質なお酒に仕上がるのだそうです。

 

 

一番人気は普通酒の「千功成 金瓢(きんぴょう)」。まろやかな甘口で、しょっぱい味付けが多い地元料理と相性がよく晩酌にぴったりです。もろみを入れた布袋を吊るして滴り落ちるお酒で造る「千功成 大吟醸袋吊り」は、日本酒本来の旨みとフルーティーな香りが楽しめる辛口タイプ。どの商品もほぼ県内でしか買えないので旅のお土産におすすめですよ。

 

 

蔵元情報
檜物屋酒造店
住所:福島県二本松市松岡173
電話番号:0243-23-0164
ホームページ:http://senkonari.com

シェアしてくんちぇ